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なんかいろいろ書いたりしてます
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「洗濯物を取り込もうとベランダに出たら、ヒグマが居た。ヒグマと目が合った。私は硬直した。」
目があった。じっと見た。ヒグマも私をじっと見る。数秒流れた。

「・・・坂本さん」
私の口はそう紡いでいた。息をすることも忘れた。
この懐かしい姿を忘れるはずもない。
「坂本さん!!!坂本さんじゃない!!どうして・・どうして!!!」

私は坂本さんの胸を責めるように叩いた。坂本さんはよろけながら、申し訳なさそうな表情をしているように見えた。

「私・・・あの日・・・どれだけ・・・・・・」
忘れるはずもない。忘れるはずもないのだ。あの日どれだけこのヒグマを、坂本さんを、呪ったかということ。

「・・・・・」
坂本さんは悔しい顔のまま何も話さない。私は坂本さんの胸元でむせび泣くことしかできない。
固く握っていたはずの両手が小刻みに震える。

洗濯物は地面に落ちてしまった。今は、ふさふさの胸毛に顔を埋めることにした。
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  • 2016年01月08日
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